まさに三寒四温で汗ばむ日と肌寒い日の繰り返し。
新年度に入り生活も変わった方もおられることと思います。
ナツメミヤビ 雅子です。
体調くずされていませんか?
のんびりゆっくりの日を作っていってくださいね。
さて今日は・・・
すっかりきものの断捨離が終わってすっきりしたものの
あまりにすっきりしすぎて、また好みのものを少し買い足したりしております。。
(何をやっているんだか^^;)
昨今は春が短くすぐに夏のような日が訪れるので
洗える単衣のバリエーションがあったらいいなと
「化繊」とうたってあるリサイクルきものを一枚手に入れました。
が、届いてみると、手持ち感などいろんな要素から「化繊ではないんじゃないか・・・」疑惑が。
(私、前職がファブリック関係の企画管理もしていたので素材の見分けが少々できます)
「化繊」を信じて洗ってしまってもし正絹だったらえらいことに。
(縮み、色落ち、型崩れ)
そこでいろんな素材の燃焼試験をして、素材の正体をしっかりチェックしてみました!
では始めます!
素材を見分けるには燃やしてみるのが一番確実!
たくさんの素材を見てくると、正絹とポリエステルの違いは手持ち感や光沢の出具合、弾力、しぼの感じや地紋の出方などで予想がついたりします。
ですが、そもそも、ポリエステルは絹に似せて作られた合成繊維なので、似ていて当たり前。
見慣れないと、見分けがつきにくいものです。
さらに最近は正絹に近づけた異形断面糸や様々な手法で素晴らしい風合いのポリエステル素材も多く開発されて使われています。
東レのシルックやシルジュエリー、夏素材ならセオαなどが有名で
メーカーさんも「絹とそん色ない」「見分けがつかないほど」というのがうたい文句です。
ますます見分けられませんね。
見た目や触ってもわからない素材の正体も「燃焼試験」をするとはっきりします。
1)燃え方(スピード・様子)
2)臭い
3)燃えかす(灰)の状態
この3つで分かるのです。
ということで、手元にあるよくある着物の素材、小さく切って用意しました。
袖の内側など、影響のないところから繊維くずを取り出すか小さくカットするとよいです。
今回は5種類用意しましたよ。
1)綿
2)麻
3)ポリエステル
4)絹
5)毛(ウール)
では早速燃やしてみます!
やけどに気を付けて、ピンセットなどで切れ端をつまんで火に当てましょう。
燃やした後の状態はこちら↓
綿・麻はぱっと燃えて灰になる
綿、麻とも植物という共通点があるのでとても似ています。
燃やすとどちらもぱっと燃え上がって、紙の焦げたような、花火の残り紙が燃えているときのようなそんな臭いがします。
とても速く燃えるので、手で布を持っていると危ないので注意してくださいね!
最後に残る灰は、灰色から黒の柔らかい灰。
ほろほろとこぼれるような感じです。
今回は麻のほうが綿よりもゆっくり燃えましたが、打ち込み(布目のつまり具合)が麻のほうがしっかりしていたからかもしれません。
同じような燃え方、臭い、灰なので、あとは見た目での判断です。
麻のほうがハリがあって艶があることが多く、よりくっきりと折れ曲がるシワが付きます。
麻は湿らすとすぐにシワが伸びてカラリと乾くのも早いです。
生地屋さんに行くとコットン(木綿)、リネン(麻)は売られていますから、触り比べてみると感じがつかめますよ!
麻は暑い季節に向かって快適です。襦袢やきもの、帯などでぜひ使いたい素材ですね^^
麻独特のシワが気になる方は、綿麻素材にすると少し軽減します。
ポリエステルと絹の燃え方は全然違う!
見た目にも触っても一番似ているポリエステルと絹ですが、燃やすと違いが一目瞭然です。
ポリエステルはゆっくりと燃え、じりじりと丸まって球ができて縮れていきます。
ほんのり芳香臭がします。洗濯洗剤のようなハンドソープのような化学的なにおいですよ。
下の写真のようにできた球がどこかについて引っ張られると、伸びて糸状になります。
一方、絹はじりじりと燃えていきます。綿や麻はぱっと炎が出ますが、それと比べてゆっくりです。
と同時に、すぐに分かるのが臭い。
髪の毛の燃えた臭いがします。もとはお蚕さんの吐いたもの(動物性たんぱく質)ですから似ているのです。
残った灰はほろほろとすぐにつぶれて粉々になります。色は真っ黒です。
全然違うので、ポリエステル(合成繊維・化学繊維/化繊)と簡単に見分けがつきますよ!
毛(ウール)は絹と燃え方は似ているが風合いで分かる
最後は毛です。
箪笥のきものには普段着のウール、アンサンブルなどもよくあるので、きものの素材にもよくあります。
モスの腰紐や、アンティークのモスリンの帯も「ウール」です。
毛の燃え方はゆっくりのスピードでじりじりくすぶったように燃えていきます。
臭いは絹と同様、動物性たんぱく質なので髪の毛の燃えた臭いがするのでほとんど差が分からないかもしれません。
髪の毛のようでもあり、焼き肉の焦げたようなけもの臭のような気もしますが、敏感ではないと差は分からない程度です。
灰の感じも押したらすぐつぶれるので絹と似ています。
絹との見分け方は、風合いかなと思います。
絹はその糸の作り方にもよりますが、ウールよりも艶があり、「しなやかさ」が特徴です。
お蚕さんの糸がもとなので、基本、長繊維。
つやつやと滑らかな風合いであれば絹、ほっこりとした素材でも毛羽立ちが少なければ繊維が短くされた真綿系の紬など
絹の可能性です。
毛は短繊維ですので、毛羽立ちが絹よりあり、地厚なことも多く、ふっくらと保温性があります。
一見紬かな?と思うものでも重さの割に地厚であるならかさ高性のあるウールの着物の可能性が高いです。
「シルクウール」という両方の良いところどりをした織物もあります。
艶としなやかさ、かさ高性、気軽さが兼ね備わっているので昭和のころに流行りましたが昨今また復活していますね!
ウールほど家着っぽくなく気軽なお出かけきものにちょうどよい重宝な素材になります。
まとめ
さて問題のきものの正体は?
様々な素材の燃え方が分かったところで、素材不明の問題のきものの素材を突き止めます!
見た目はこんな小紋です。相変わらずエスニックな雰囲気が好きなのですね~
袖の中の生地の端を小さく取り出して燃やしてみました。
じりじりとゆっくり目に燃え、独特の臭いがします。
髪の毛の臭い・・・動物性たんぱく質ですね。
そして灰は、つぶすとすぐつぶれる黒い灰です。
ということはポリエステルの線はなくなりました!
やっぱり化繊じゃないのか~
たらたらとした落ち感のある艶のある風合い。
この正体は「正絹」。正絹の小紋の単衣でした!
お手ごろで買えたのである意味ラッキー、洗えるものも欲しかったのでちょっと残念な気も^^;
他にも正絹のきものらしき要素はありました
実は購入前からうすうす、こんなポリエステルきものはないんじゃないか・・とは思っていました。
が、出品されている業者さん(もしくは一般の方)がきものや素材に詳しいわけではないので
「本当にポリエステルですか?」という質問をしたところで分からないことも多いので聞かなかったのです。
(聞けるなら聞いたほうがよいですよ!でも正解が返ってくるとは限りません。)
どこで正絹疑惑を持っていたかというと
☑裏まで染めが通っていた
ポリエステルはプリントなので、捺染プリント、インクジェット、転写など様々手法はありますが
基本、染料は生地表面に乗ります。裏は白っぽいものがほとんどです。
この画像だと、おそらく地染めと思われるカーキ色がここまで全面的に裏に通っている・・・
上から乗せた柄の色も同様に下まで通っているように見えたのでかなり怪しかったのです。
☑背伏せ(せぶせ)が正絹っぽい・・・
背縫いに丁寧に背伏せがつけてありました。
この背伏せがつやつやとした柔らかで薄く、正絹ぽい。
化繊のきものは洗う前提なので、正絹の背伏せはつけません。洗うと縮み率が違うのでくしゃくしゃになるからです。
ここでも正絹疑惑がわいてかなり確信に・・・
ちなみに届いたときに確認したところ、総手縫いでしたが、正絹でもポリエステルでもミシン縫いもあれば手縫いもあり。
縫い方はあまり素材の判断材料にはならないかもしれませんね。
ということで素敵な正絹の小紋を化繊だと思ってお安く出品された方から上手に買った。というお話。
・・・ではなくて、きものによくある素材の燃やして分かる見分け方のお話、風合いからの素材の見分け方、でした。
ご参考になればうれしいです。
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